2015年12月20日日曜日




パブロフの犬

条件反射(じょうけんはんしゃ)(あるいは条件反応)とは、動物において、訓練や経験によって後天的に獲得される反射行動のこと。ソ連の生理学者イワン・パブロフによって発見され、パブロフの犬の実験で有名になった。 (例)梅干を見ると唾が出てくる。 Wikipedia より  2015年もあと僅かとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?  校正の佐々木です。  さて、誰しも「パブロフの犬」的反応を示してしまうことがあると思います。例にあげたように味覚に関することが一般的かと思いますが、感情面でも、同様の反応は起こっているのではないでしょうか?「何度読んでも泣ける本」「何度観ても笑える映画」など、すでに結果が分かっていても毎回同じ反応を示すのは、感情面での「パブロフの犬」だと私は思っています。  私には「何度観ても泣ける映像」があります。それは「小惑星探査機はやぶさが地球にようやく帰ってきて、小惑星イトカワのサンプルが入ったカプセルを放出し、自身は燃え尽きてしまう」場面です。見たことがある方もいらっしゃると思います。  「はやぶさーおかえりー」というJAXA職員さんの声とともに、燃えて散り散りになるはやぶさ…。それと同時に私の涙腺も決壊…。機械なのに何故こんなにも胸を締め付けるのでしょうか。それはきっとここにいたるまでのJAXA職員さん達の苦労の歴史を知っているからなのだと思います。  そして9月、新たな「何度観ても泣ける映像」が生まれました。それは「ラグビーW杯で日本代表が南アフリカ代表に逆転勝利を決めたトライ」の場面。  9月19日夜中の3時、一人テレビの前に正座をして祈るような気持ちで「頑張れー頑張れー」と小声で応援しておりました。インジュアリータイムに突入し、ここでゲームが切れたら試合終了です。ラストワンプレー、モールからのボールを繋いで繋いで敵陣左隅に逆転のトライ…。  もう、この後は涙が止まりませんでした。  幼稚園の頃からラグビーシーズンが始まると家族で秩父宮ラグビー場に通い続けて、もう観戦歴だけでいうなら40年近くになるでしょうか。「三つ子の魂百まで」とは良く言ったもので、一番好きなスポーツはラグビーになってしまいました。  幼い頃は試合を見るよりもサイドスタンドで弟と「グリコ」という遊びをしたり、芝生のスタンドにいたエンマコウロギ採りに夢中になっておりました。ここでだけ食べるのを許してもらえたカップラーメンや、両親がピューターに入れたウイスキーをホットコーヒーに入れて飲んでいる様子など(当時のバックスタンドはコンクリート席で寒く、暖を取る目的でアイリッシュコーヒーにしていたのです)、ラグビー以外のことばかり覚えています。  その後点取り屋のバックスの選手がカッコイイなぁと目がいくようになり、徐々に「やっぱりフォワードがしっかり組まないとな」などと、見方も変わっていきました。現在は、もちろん贔屓チームが勝てば嬉しいけれども、なにより「良い試合が観たい」と思うようになりました。  そんな風にラグビーを観てきた中でのこの試合です。今までも数度海外のナショナルチームに勝ったことはありましたが、それでもこの試合は特別でした。あの映画にもなったスプリングボクス(南アフリカ代表愛称)にW杯で劇的な逆転勝利をするなんて。「勤勉な日本人だからこそやり遂げられた」という過酷なトレーニングの末の結果でした。  フルコンタクトスポーツのラグビーで、体格面において圧倒的に不利なジャパンが世界と戦い続けて、ようやくここまで これたのです。ジャパンの悔しさと努力の歴史を知っている身としては、本当に本当に頑張ってきたんだなぁ、ありがとう、素晴らしい試合を見せてくれて、と歓喜と感謝の気持ちしかありませんでした。  戦績としては3勝したものの残念ながら1次リーグ敗退となってしまいましたが、代表選手帰国後のラグビーフィーバー(というか五郎丸選手フィーバー?)は、皆様もご存知の通りかと思います。早稲田ラグビー部時代はあんなに小憎たらしかった五郎丸選手がイケメン扱いなんて(筋金入りの明治ラグビー部ファンなもので)、やはりスポーツにおいては勝利することが何よりも大切なのだと、シミジミ感じ入っております。  長く観戦してきた身としては、これが一過性ではなく4年後に日本で開催されるW杯まで続いてくれると良いなぁと願わずにはいられません。  ところであまりご存知ないかと思われますが、札幌にもラグビー場があります。地下鉄東豊線月寒中央駅を出てすぐの「月寒ラグビー場」です。シーズン中は、1・2度ここでも大学リーグやトップリーグの試合が行われています。そして4年後、日本でラグビーW杯が開かれる折には、札幌ドームでも試合が組まれます。  もちろんジャパンの試合も見たいけれど、3連覇を果たすかもしれないオールブラックス(ニュージーランド代表愛称)の試合や、ジャパンをここまで強くしたエディー・ジョーンズHCが率いることになったイングランドの試合も見てみたい…などと、もう4年後のことを考えていますが、それまでに私も足腰の鍛錬をして、あの札幌ドームの急なスタンドを楽々と上り下りできるようにしなければと思っております。